第7回【憧れを抱き、自分だけの架空の世界観を追求する。】アングラ好きの美大生にインタビュー
Profile
多摩美術大学 情報デザイン学科 メディア芸術デザイン 2年
畠 遥七(はた はるしち)
自由に作品を作り出すクリエイター達の宇宙を聞き出すインタビューの第7回。今回イ ンタビューしたのは、多摩美術大学で映像を中心にメディア情報を学んでいる畠遥七さん 。
彼の独創的な世界観は、高校生の頃から変わらず唯一無二の惹かれるセンスがある。そ んな彼のルーツとなったものは一体何なのか?
本インタビューでは、彼の「アイディアの引き出し」を中心に彼の日常に潜んだインス ピレーションを探ってみた。
伝説の先生
--現在、大学で学んでいることは何ですか?
畠遥七(以下、畠):メディア芸術なので、映像や写真、3D インスタレーションなど様 々なことを学んでいます。自由に学べるのが魅力ですね。課題はテーマと秒数だけ指定さ れて、技法などは自分の好きに制作することが出来ます。2年生になると、実写の映像と 自作アニメーションまで入り混じってより自由になってきますね。
--特に好きな授業は?
畠:映像系が好きですね。特に2年生になってからの授業で新しくシナリオデザインを受 講したのですが、これがとても楽しくて。教授が独特ですごく為になる事を沢山言ってく れるんです。「シナリオって穴だから。主人公が1人居て、穴にはまって、帰ってくれば 良いだけだよ」だと言っていたのがとても印象的で。これってどの作品にも共通するなっ て思ったんです。
--面白いですね!例えば?
畠:例えば「ワンピース」とかもルフィーという主人公がワンピースを目指しますよね。 その間に沢山の苦悩や困難の穴があるんです。終わりはまだ分からないけど(笑)きっと帰 ってきて終わるんだと思います。大きく言えばどの作品にも当てはまるし、ストーリーを 作る上での構造を教えてくれた授業でしたね。
--その教授はどこかで現在活動している方なのですか?
畠:それが!全然どこで何をしているのか本当に分からなくて!友達とも話しているんで すけど、みんな「めっちゃ良い事言うけど何してんのあの人...」と都市伝説になっていま す。もはや口だけでここまで来たんじゃないかって(笑)でも風格とか、言っていることが本当に大教授なんですよ。
大学で制作したアニメーション作品「BATH ROOM」
大学で制作したアニメーション作品「BATH ROOM」
大学で制作したアニメーション作品「BATH ROOM」
大学で制作したアニメーション作品「BATH ROOM」
大学で制作したアニメーション作品「BATH ROOM」
ラヴクラフトから学ぶこと
--早速ですが「アイディアの引き出し」は何ですか?
畠:作品制作する前に最初にマインドマップを制作することですね!制作中このマップからどんどんアイディアを拾っていきます。最初にイメージや構図が思いつくので、制作中はそこに完成を近づけていく感覚に近いですね。一個だけやりたいことを決めて、後は観客にシーンの迫力が伝わるような作品作りを心掛けています。
--最近参考にしている作品などはありますか?
畠:最近「ハワード・フィリップス・ラヴクラフト」という海外の小説家にハマっています。僕はホラーが好きなのですが、この人は怪奇小説の先駆者の1人で。実は、あの有名な「クトゥルフ神話」の元になった小説作家なんです。映像制作で短編シナリオを書く時 に、ラヴクラフトの小説を読んで参考にしています。
--特に好きな小説はありますか?
畠:最近読んでいる「ダゴン」とか衝撃的で面白かったですね。最初に病室で男性が「怖 い思いをしました。」と語り口調から始まり、嵐の海で流されて真っ暗な大陸に流された 時の化け物との恐怖体験を話すのですが...最後が衝撃的なラストで、しかも救いもないん ですよね。たった9ページくらいの短編にも関わらず、恐怖の要素が盛り沢山でこんな短 く収まっていることにびっくりします。この衝撃的な小説を第一次世界大戦くらいに書い ているのが凄いですよね。
大学で制作したコラージュ作品「SUN」
好きなのは主人公より悪役
--憧れている作家さんはいますか?
畠:ウルトラマンの怪獣デザインを担当した成田亨(なりた とおる)さんが憧れですね 。怪獣のフォルムや世界観が大好きで。作品集も持っています!小さい頃に親から初めて 貰った「ウルトラマンゼアス」に登場する「ベンゼン星人」のソフビ人形がきっかけでしたね。
--ウルトラマンが好きだったんですか?
畠:実はウルトラマンが好きというよりソフビ人形の方が大好きで(笑) その影響で怪獣の フォルムに魅力を感じるようになりましたね。親にねだって買ってもらったソフビ人形が 「ウルトラシリーズ」に多く登場する「タイラント」でした。不気味でカッコいいキャラ が好きなんです。
--主人公より怪獣や敵側の方が好きなのですか?
畠:どちらかと言うと敵側が好きですね。悪役がカッコよくない漫画はあまり好きではありません。例えば、ドラゴンボールのフリーザとかセルとか。ウルトラマンのダダ星人とか好きですね!キャラクターデザインはもちろん、やはりその強さに惹かれます。「ドラクエモンスターズ」というゲームがあるんですが、このゲームは敵であるモンスターを味方にして戦えるので最高なんですよ。
個人制作のコラージュ作品「100人」
代表作の漫画とコラージュ
--小さい頃からよく絵を描いていたのですか?
畠:保育園の頃から描いていましたね。外で遊んでいるより、中で絵を描いていた記憶の 方が強く残っています。特に漫画を描くことが大好きでした。小学1年生の時に友達と3 人くらいで一緒に描いていました。架空の世界を考えることが好きなんです。大縄跳び大会の最中もたった1人参加しないで絵を描いていました(笑)
--確かに畠さんは高校生の頃も漫画を描いているイメージがありました!昔からだったんですね。
畠:そうですね。高校のデザイン科学科に入るきっかけも漫画家になりたいという想いがあったからでした。ウルトラマンやドラゴンボールの世界観の影響を強く受けて「〇〇マン」が登場する作品を多く描いていました。高校からだとポテトマンとか!
--ポテトマン!懐かしいですね!畠さんといえば、もう一つコラージュ作品のイメージがあります。
畠:実はコラージュを本格的にやり始めたのは大学に入ってからなんです。コマ撮りの課題でコラージュが動くアニメーションを制作したのがきっかけです。褒められたからコラージュを制作しているという気持ちでしたが、制作しているうちにどんどん好きになっていきました。最初は自分がコラージュをやるなんて意外でしたね。
--きっかけの作品はどんな作品だったんですか?
畠:作品名が「虫」で、コマ撮りでアニメーションを作る課題でした。「夏に飲むジュースって美味しいよね」というところから始まった作品です。虫が主人公で、虫のことは嫌いだけどすごく苦労しているなと思うんです。そんな苦労も吹き飛ぶほど炭酸って美味しいよね!ということを伝えたくて、この作品を制作しました。大体制作時間が2週間くらいで、500枚くらいかけて制作しました。
大学で制作した映像作品「虫」
大学で制作した映像作品「虫」
大学で制作した映像作品「虫」
大学で制作した映像作品「虫」
最後に
--作品制作をしている上で大切にしていることは?
畠:いろんな次元や表現を混ぜることです。コラージュ作品が軸になっているので、なんでもとにかく混ぜていきたいです。あと、見てくれる人のことを考えて制作することですね。自分が好きなものを作って、なお相手も僕の作品を好きでいて欲しいと思います。
--将来の夢はなんですか?
畠:今やっていることを続けることですね。今現在も映像を作ることでお金をもらえているので、そのまま続けていきたいです。映像を作ってお金をもらって、休日に自分の表現を追求することが理想的ですね。とにかく、今やっていることを頑張っていきたいです。
文・構成/大橋麻衣