自由に作品を作り出すクリエイター達の宇宙を聞き出すインタビューの第3回。今回インタビューしたのは、多摩美術大学でデザインを幅広く学んでいる新井田萌々さん。
日々推しのアイドルやバントマンのライブで全国各地を飛び回っているイメージのある彼女。しかし、作品は真面目で誠実さが伝わってくる素敵な作品が多い。
そこで本インタビューでは、「アイディアの引き出し」を中心に、彼女の日常に潜むデザインのルーツを探ってみた。
日常生活に潜むインターフェイス
--現在、大学ではどのような事を学んでいますか?
新井田萌々さん(以下、新井田):統合デザインなので、毎日様々なデザインの事を学んでいます。グラフィックデザインだけでなく、インターフェイスや写真、プロダクトデザイン、情報デザインがあります。でもやっぱり、特に好きなのはグラフィックデザインですね。
--“インターフェイス”という言葉を初めて聞きました!どんな授業ですか?
新井田:説明するのがとても難しいのですが、世の中にある物のアフォーダンスに気付く授業という感じですかね。私も完璧に理解できていなくて(笑)この授業では、日常の観察が大切です。物を物として見るのではなく、本質を見抜く眼が必要になってきます。
--なんだか難しそうですね…。具体的にはどのような作品を?
新井田:この「性質を裏切る」という課題がインターフェイスの課題でした。丁度この時は推しの舞台に通っている時期で、入場時に行われるチケットのもぎりから着想を得ました。もぎりが上手くいっていないスタッフさんを見て「この切り取りの部分が伸びたら面白いだろうな」という思いから制作したものです。このチケットを切り取ろうとしたのに、切り取れない“性質の裏切り”がインターフェイスだと思います。
大学での課題「性質を裏切る」
チケットのもぎりから着想を得て制作した作品。
経験や知識を蓄える
--早速ですが、新井田さんの「アイディアの引き出し」はなんですか?
新井田:様々な経験や知識を蓄えるようにしています。展示会や作品マーケット、学校の図書館などによく通っていました。自分だけでは限界を感じることが常々。行き詰まった時には、様々な人の作品を実際に見て触れる事で知識を得ています。日々の経験からも、アイディアを得ることがあります。
--今まで行って影響を受けた展示会などはありますか?
新井田:去年の10月頃に行ったTABF(TOKYO ART BOOK RAIR 2022)ですね。国内外から旅行の日記のZINEや作品集など様々な冊子が集まり、展示やマーケットを行っていた企画展です。実質コミケみたいな感じです。課題でカタログを作る際に、まとめ方や製本の仕方、レイアウトなど、とても勉強になりました。
--そこで実際何か購入することは?
新井田:めっちゃ買いました!(笑)特にお気に入りの冊子は、韓国と日本を繋げる目的とした冊子です。広げてみることが出来るようになっていて、韓国と日本の写真が繋がる仕様になっています。“繋がる”という目的が視覚的に伝わってくるレイアウトで、とても面白いと思いました!
大学での課題「self portrait」
名前を使い自分の印象を視覚的に構成。
大学での課題「self portrait」
名前を使い自分の印象を視覚的に構成。
大学での課題「self portrait」
名前を使い自分の印象を視覚的に構成。
大学での課題「self portrait」
名前を使い自分の印象を視覚的に構成。
恋愛とか、愛とか、運命とか。
-影響を受けたクリエイターは?
新井田:野田 凪(のだ なぎ)さんです。お母さんがバンドのJUDY AND MARYが好きで。当時、JUDY AND MARYのMVを制作していたのが野田さんでした。表面的な可愛さだけじゃなく、色味がパキッとしている毒々しさに幼いながらに惹かれました。こういったダークな世界観や、愛を直接に伝えてくる作品が凄く好きですね。
--ダークと愛!まさにそんなイメージがあります!
新井田:そうですよね(笑)私も会話していて、自分の嗜好が分かりやすいなと思いました。趣味のバンドもダークなイメージのアイドルの事が多いし、大森靖子のラブソングも大好きです!漫画だったら「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」とか。恋愛とか、運命とか、愛とか。そういうものに惹かれますね。
--アイドルが結構例に挙がっていましたが、アイドルが昔から好きなのですか?
新井田:小さい時から大好きですね!私のアイドルの原点は、まさに「AKB48」です。小さい頃から女の子のキラキラが大好きでした。秋元康の歌詞とか、フリフリのアイドル衣装とか。総選挙にも投票していて、AKBが人生最初の推し活です!アイドルの非現実を味合わせてくれる所が大好きです。何歳になっても、キラキラなアイドルから目が離せません。
自主制作「夏休み中の絵日記」
昨年の夏休みに毎日絵日記を制作。
自主制作「夏休み中の絵日記」
昨年の夏休みに毎日絵日記を制作。
知識は安心を与えてくれる
---小さい頃から絵を描いていましたか?
新井田:そうですね!小さい頃からよく絵を描いていました。当時から化粧品が好きだったので、化粧品のポスターを描いていました。もしかしたら、この時からデザインに興味があったのかもしれません。特に好きだったのが、友達の誕生日に絵を描くことでした。
--そこからどうしてデザインの道に?
新井田:絵画も好きなのですが、ずっとデザインに興味があったからですね。小さい頃からお菓子のパッケージや、化粧品のパッケージのデザインが好きでした。そこで、高校2年生の時にグラフィックの専攻を決めました。その後、自分で調べてJAGDAデザインなどの作品集を見ると「グラフィックってかっこいい!」という憧れを強く抱くようになりました。
--当時から作品集などをよく見ていたのですか?
新井田:見ていましたね。平面構成をしていた時に、先輩だけを参考にするのは限界に感じて。そこから「世の中の広告を調べよう!」と思い、自分専用のデザイナーをまとめたデザイナーノートを作り始めました。
--知識欲があるんですね。
新井田:確かに!そうかもしれません。知識は私にとって、安心材料ですね。知識欲もですが、人間に興味があって。「この人はどんな考えを持っているんだろう?」と深掘りした結果が、知識を得ることに繋がっています。先生や家族、友達とも沢山話して考えを貰ったりしますね。
大学での課題「Design by Accident」
狙った形を作ってはいけない偶発的な形体実験。
大学での課題「Design by Accident」
狙った形を作ってはいけない偶発的な形体実験。
大学での課題「Design by Accident」
狙った形を作ってはいけない偶発的な形体実験。
大学での課題「Design by Accident」
狙った形を作ってはいけない偶発的な形体実験。
最後に
--作品制作をする上で大切にしていることは?
新井田:共感ですね。色んな人の感想を聞くのが好きで。よく自分の作品を見てくれた人に、感想を聞きに行きます。誰かの展示に見にいった時も、一緒に行った友達などに感想を聞きます。感想を聞くことで生まれる共感を大切にしていきたいですね。
--これからどんな作品を作りたい?
新井田:人に寄り添った作品を作りたいです。私自身、クリエイティブに救われている部分が多いので。私の作品も、誰かを救えるきっかけになれたらいいなと思います。あとはなんでもやりたいですね。絵も描きたいし、ぬいぐるみも作りたいです。
構成・文/大橋麻衣
大学での課題「roll roll」
二つの異なるフォントの”O"を比較した。
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