第6回【見た人の心にずっと残る、訴える優しさと強さのある絵を。】動物と自然を愛する美大生にインタビュー

Profile

福島大学 人間発達文化学類 芸術・表現コース 2年

半谷 凜音(はんがい りんね)

 自由に作品を作り出すクリエイター達の宇宙を聞き出すインタビューの第6回。今回インタビューしたのは、福島大学で絵画を中心に美術を全体的に学んでいる半谷凜音さん。

 彼女の色鮮やかで、壮大な世界観を描いた作品の数々は見ている人の足を止め、心を奪うものばかり。

 本インタビューでは、そんな彼女の「アイディアの引き出し」を中心に、彼女の日常に潜んだインスピレーションを探ってみよう。

人と関わる作品作り

--現在、大学で学んでいることはなんですか?

半谷凜音(以下、半谷):1年生の時は美術について全般的に学んでいました。幅広く授業があり、デッサンや彫刻。デザインや映像などを学びました。私は油絵が好きなので、早く油絵をやりたくてうずうずしていました(笑)2年生からやっと油絵をすることができました!

 

--特に好きな授業はなんですか?

半谷:子供造形が特に楽しくて好きですね!この授業は、子どもに教える図工のような内容を学ぶことができます。例えば、ちぎり絵や紙粘土の造形、4コマ漫画など。描くことから作ることまで幅広く触れ合えます。

 

--人と触れ合うような授業が好きなのですね。

半谷:そうですね!みんなで作る事が好きです。美術研究会というサークルに所属していて、学年ごとにテーマを決めて大きなパネルに共同制作を行いました。この制作もめっちゃ楽しかったですね!

サークルで描いた作品「共生世界」
水彩・色鉛筆

動物が作品に与える影響

--早速ですが、「アイディアの引き出し」はなんですか?

半谷:私は鬼みたいに動物が好きだから(笑)とにかく動物をめっちゃ見ますね。本当は動物園で実物を見たいけど、行けないのでずっとネットで見ています。特によく見ているのがYouTubeに動画を投稿している「Moving Pictures Africa」ですね。野性の行動が見れて、画質も画角も綺麗なのでお気に入りです!

 

--特に好きな動物はなんですか?

半谷:シマウマ、キリン、シロイルカ、くじら、ウミガメ、ジンベイザメが特に好きです!好きな理由は、シマウマはなんでそんなに縞々なの?野生なのにそんなに派手で逆に目立たないの?って心配になるからですね!(笑)キリンは喧嘩する時に首で喧嘩するのが見ていてめちゃくちゃ面白くて好きです。海の動物たちは見た目が好きです。

 

--確かに半谷さんの作品には動物がたくさん登場しますよね!

半谷:そうですね〜!特に高校の卒業制作で描いた作品「満ち欠け」が、一番動物が多く登場しているかも。この作品は成長をテーマに描きました。月の満ち欠けは人間と同じだと、私は考えます。心が満たされている時もあれば、欠けている時もある。成長している時もあれば、停滞している時もある。そんな精神状態を表現しました。動物たちは、3年間一緒に学んできたデザイン科学科(以下、デザ科)のみんなをイメージ。弱肉強食があるけど一定の距離を保ちながら共存しているところや、それぞれ特化している能力が違うところ。そんな動物たちの姿が、デザ科のみんなに似ていると感じ描きました。高校の集大成ということでさまざまな思いが詰まっている作品ですね。

高校の卒業制作 「満ち欠け」
油絵

あったらいいなの世界


--日常からアイディアをもらうことはありますか?

半谷:常に日常からアイディアをもらっています!空や月などの自然物が好きで、電車やバスに乗っている時ずっと見ています。感受性が豊かなので「雲の形が〇〇に似ている!」などすぐ別の物に例えてしまう癖がありますね。

 

--雲から他のものを連想させちゃうの分かります(笑) 想像力が豊かなのですね!

半谷:そうかも!(笑) 好きなミニチュア写真作家の田中達也さんという方がいらっしゃるのですが、この方の想像力が本当に凄いんです!ブロッコリーをツリーハウスにしたり、海苔巻きを電車にしたり…日常のものを使って街を作るのが本当に可愛くて!ずっと見てられますね。他の物に見立てる作品が好きで「よく思いつくな」と本当に感心してしまいます。

 

--日常から新しい視点の世界を作り出すみたいですね。

半谷:確かに!私の作品も「こういう所に行ってみたい!」という思いや、「自分の理想郷を描きたい!」という考えが根底にあるのでそういう作品に惹かれるのかも。見てくれた人にも「こんな世界に行ってみたい!」と思えるような作品作りを心がけています。

 

--なるほど!何か自分の理想郷を描いた作品はありますか?

半谷:この「月鏡」は私の“あったらいいな”の世界を描きました。私の大好きな月と雲。その2つが共存している惑星があったら私の大好きな場所が出来あがっちゃうじゃん!と思い描きました。クレーターがとにかく描きたくて!真っ暗闇の宇宙と月の境目を描けたらカッコいい!と思い、クレーターをうまく利用して表現することに。この作品は、日本画の講義の限られた時間で描きました。

大学の授業で制作した作品「月境」
日本画

社会問題とメッセージ

--自分を変えた作品はありますか?

半谷:高校2年生の時に描いた「global warming」という油絵の作品ですね。この作品を作るまでは作品スタイルが決まっていなかったんです。今まで作品を描くときに、メインのモチーフや主人公を決めすぎてしまう癖がありました。しかし、今回の作品では、これでもかとたくさんモチーフを入れ込むように!すると迫力が増して、自分で自分の作品がより好きになりました。描いていて飽きがこなくなり、より描いていて楽しかったですね!この作品は地球温暖化が進みすぎた世界をテーマに、環境問題を絡めて描きました。

 

--環境問題を?メッセージ性がありますね!

半谷:実は、私の作品は社会問題を絡めて制作することが多いです。地球温暖化などの環境問題をメッセージとして加えています。「global warming」では、街を海に沈めて地球温暖化が進みすぎた世界を表現しました。例え人間の世界が終わっても、自然は終わらないくらい強いと思います。大きな珊瑚礁は時間経過を表していて、人間の世界が終わってからどれくらい経ったのか想像することが出来ますね。さらに、背景の団地には少女が居るのですが、この少女は世界の異変に気づいたから、息ができるようになっています。まだ人間にも地球温暖化の異変に気づいている人が居るという希望を少女で表しました。

 

--凄いですね…。

半谷:ありがとうございます!(笑) 「共生世界」も人間と生物の共生を描いた作品です。イソギンチャクとカクレクマノミ、コバンザメとウミガメとジンベイザメ。実はこれらの生物たちは、共生している動物を選んで描いたんです。背景には人工物のお城を描き、人間と自然の共存と共生というテーマを表現することができました。水彩と色鉛筆で一週間くらいかかりましたね。

高校時代の作品「global warming」
油絵

最後に


--作品制作をしている上で大切にしていることは?

半谷:見てくれる人がその場にずっといるような、離れたくなくなる作品を制作するように心がけています。訴える強さと、寄り添うような優しさを大切にしたいです。作品を見た人にとって学びや気付きを得る作品であって欲しいと思います。

 

--将来の夢は?

半谷:生物や自然物を描き続けたいですね。あと誰かと何かを作るのが好きなので、誰かのブランドポートもしたいです。誰かの夢の後押しや、成功の後押しをお手伝いをできたら嬉しいですね。

 

構成・文/大橋麻衣

大学で制作した作品

左:「理〜王の手」(おじいちゃん)/右:「理〜里の手」(おばあちゃん)
油絵

大学で制作した作品「夢想造」

デジタルイラスト

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